「静かなバブル」崩壊の声


安倍政権下の異次元金融緩和で盛り上がっていた不動産取引が昨年後半から失速し、ブレーキがかかっていることが分かった。

投資マネーの流入で物件価格が上昇し過ぎ、割高感が増しているからだ。さらに株安・原油安・円高の三重苦が景気動向に敏感な不動産市場の投資家心理を冷え込ませており、投資用不動産価格は下落の可能性があるとの見方も出ている。

みずほ信託銀行系の都市未来総合研究所の調査では、2015年上期(1-6月)の不動産売買額は前年比3.6%増の2兆5078億円と1996年以来の高水準を記録したが、下期(7-12月)は同31%減と失速し、通年では4年ぶりのマイナスだった。

米総合不動産サービスのJLLグループによると、日本の商業用不動産投資額は15年第3四半期まで拡大傾向だったが、第4四半期は一転して前年比60%減少した。

デフレ脱却を掲げる安倍政権の下で、日本銀行は13年4月に異次元金融緩和に踏み切り、Jリートや海外投資家を中心に不動産取引が活性化。

特に緩和に伴う円安進行により海外投資家には割安感が高まり、都市未来総合研によると14年の売買額は7年ぶりに5兆円台を突破していた。

オフィス価格も押し上げられ、大和不動産鑑定のデータでは15年第3四半期の東京都心部Aクラスビルの床単価は1年前と比べて2割上昇し、7年ぶりの高値をつけている。

ドイツ証券の大谷洋司アナリストは、不動産取引の減少について「価格が上昇し過ぎたことで、投資家が買えない水準まで来たため」と指摘。賃料上昇率が鈍化していることもあり、「不動産投資市場は徐々にスローダウンしていく可能性が高く、今年は静かなバブルが崩壊する年だ」との見方を示した。

富士通総研の上席主任研究員の米山秀隆氏も「価格調整しないと新たな需要は出てこない」と述べ、価格下落の可能性を明らかにした。

Jリート

野村証券のアナリスト、福島大輔氏が「賃料の上昇がまだ弱いままであるのに対し、不動産の売買価格だけが先行して上昇した」と話すように、投資利回りの低下が目立つ。JLLグループの調査によると、15年第3四半期の東京Aグレードオフィスビルの平均利回りは3.1%まで下がり、前回のミニバブル期の07年第3四半期の3.2%を下回った。

上昇基調にあった東証REIT指数が昨年夏の中国ショックで下落し、不動産投資の主役であるリートの資金調達環境に陰りが見られた。不動産証券化協会のデータによると、Jリートの15年の資産取得額は前年比0.8%増の1兆6146億円にとどまった。

警戒感

15年は中国経済の減速懸念から7、8月に上海総合指数が急落。

また、リスク回避の円買いから円相場は一時1ドル=115円台まで上昇するなど、市場環境が大きく変わり始めている。

不動産投資会社のロードスターキャピタル(東京都中央区)の岩野達志社長は、「国内外の投資家は注意深くなっている」と指摘。中国経済が悪化すると、「対中輸出が減って日本企業の業績が悪化して、テナント需要も減る」と述べ、実体経済面からも不動産市場に響くとの見方を示した。

ニッセイ基礎研究所の不動産投資市場の景況感調査によると、6カ月後の見通しについて08年以来初めて「悪化」「やや悪化」が「改善」「やや改善」を上回った。不動産価格については、3割近くがすでにピークを迎えたという。

外国人投資家

円安効果が引き続き薄れれば、外国人投資家は今後は売り手として出てくるという見方も出ている。都市未来総合研の主席研究員、平山重雄氏は「外資系は動きが変わってきた」とみている。14年は外資系法人は過去最高の1兆円規模の取得に動いたが、15年は売却超に転じたと分析しており、「16年も利益確定の売りが強く出る可能性がある」と言う。

中国経済の悪化はエネルギー需要の減少をもたらし、原油価格は急落。産油国のオイルマネーについて、「今後は東京の不動産に対して買いよりもむしろ売りに出るのではないか、という見方が市場の方向性につながる可能性がある」と野村証の福島氏は話す。

年初来27日までの下落率はTOPIX(東証株価指数)の9.5%に対し、TOPIX不動産業指数は12.6%。Jリートを組み入れた東証REIT指数は2.1%安。ドイツ証の大谷氏は、日本株全体の中で不動産業種の値下がりが目出つのは「今後不動産市況が悪くなるとの見方をすでに織り込んでいるためだ」と分析する。

 

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