オンラインストレージやUSBメモリではなく「ポータブルHDD」が選ばれる理由とは?


ポータブルHDDの利点は言うまでもなく可搬性の高さだ。多くの製品は2.5インチのドライブを採用しているため、コンパクトかつ薄型で、バッグに入れて持ち歩きやすい。大抵の製品はACアダプターが不要で、USBケーブル1本でデバイスに接続すればバスパワー駆動できるのも利点の一つだ。

ポータブルHDDは小型で持ち運びにも最適だ

ポータブルHDDの主な用途としては、容量の大きさを生かしたデータの持ち歩きが挙げられる。ノートPCやタブレットは内蔵ストレージの容量が限られており、大量のデータを保存するには不向きだ。特に最近増えつつあるSSDにおいては、大容量モデルが比較的高価のため、一般的にHDDが主流だった頃よりも容量が少ないことが多く、ユーザーが自由にデータを保存できるストレージ容量はますます少なくなっているのが現状だ。

ソリッドステートドライブ(英: solid state drive, SSD)とはフラッシュメモリを使用した 補助記憶装置の一種である。

→wikipedia参照

ky_pro-02.jpg 例えば話題のWindowsタブレット、512GBモデルは価格的に手を出しづらく、256GBや128GBのモデルを選んだ――心当たりがある人も多いのではないだろうか

こうした状況下で、手っ取り早く容量を確保したければ、1TBから2TBという大容量のポータブルHDDは有力な選択肢といえるだろう。

このほかの用途として、かつては室内にある別のPCにデータを移動させるために使われるケースが多かったが、無線LANといったネットワークの普及によって利用シーン自体が激減している。またデータのバックアップ領域としての用途も、ネットワーク越しで使えるNASの普及により、接続と取り外しをその都度行わなくてはいけないポータブルHDDの出番は減っている。

ネットワークアタッチトストレージ (NAS) とは、コンピュータ ネットワークに直接接続して使用するファイルサーバ。 

→wikipedia参照

ネットワークで接続できるNASの利便性
ネットワークで接続できるNASの利便性は魅力的だ

一方でニーズが増えつつあるのが、テレビに外付けHDDを接続し、番組を録画する用途だ。据え置き型のHDDと違ってACアダプターが不要で駆動すること、カセット感覚で増設および取り外しが可能なことが受け入れられている要因で、多くの製品は各社テレビへの対応をパッケージに表記しているほか、テレビ背面に外付けHDDを取り付けるためのオプションも市販されている。

これらはあくまで個人ユース、家庭内での利用にフォーカスした用途であって、法人での利用に関して言えば、従来通り大容量データの持ち歩きが使い道の中心となっているのが現状だ。

ポータブルHDDを取り巻く強力なライバル達

十数年前ならばともかく、近年ではポータブルHDDの競合となるソリューションは数多く存在している。ここでは、それら「ライバル」と、それぞれの特徴について見ていこう。

USBメモリ

ポータブルHDDのライバルとして、まず真っ先に名前が挙がるのはUSBメモリだろう。ボディサイズはポータブルHDDに比べて圧倒的に小さく持ち歩きに適している上、消費電力の少なさ、読み書きの速さも、ポータブルHDDを圧倒している。

もはやおなじみのUSBメモリ もはや保存ストレージとしておなじみのUSBメモリ

一昔前の2000年前後、USBメモリが市場に出始めてすぐの頃は、容量も数MBクラスで、フロッピーディスクと比較して少し多い程度だったが、今や容量は16GBから32GBがボリュームゾーンとなるまでに進化した。物理的に破損しやすいHDDと違って、落下などの衝撃に強いこともあり、メールに添付できないサイズのファイルや多数のファイルを持ち歩く用途においては、ポータブルHDDの強力なライバルである。

オンラインストレージ

オンラインストレージも、データを受け渡すという用途において、ポータブルHDDに立ちはだかる強力なライバルだ。アップロードとダウンロード、それぞれ所要時間がかかるのはマイナスだが、数GB程度の容量であれば多くのサービスが無料で提供しているうえ、物理メディアを介さないことから遠隔地の相手に渡す用途には適している。

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オンラインストレージの場合、パスワードロックが破られるといった事態が発生すればデータ漏えいの心配はありうるが、ポータブルHDDやUSBメモリで起こりうる盗難や紛失といった事故に比べるとリスクは低く(もちろん使い方にもよる)、さらに落下などによる破損の危険もない。このほか、大容量データの受け渡しに特化したファイル転送サービスや、さらに少ない容量であればメールに添付するという選択肢もある。

SSDドライブ

最近は、SSDという選択肢もある。内蔵用の製品を市販のポータブルHDDケースに入れて組み立てれば、USBメモリ並に読み書きが速く、また容量もHDDほどではないものの、数十から数百GBクラスのストレージが出来上がってしまう。セキュリティが重要視される法人ユースでは自作ケースで組み立てるのはあまりおすすめできないが、既にSSDが手元にあり、コストを抑えたい場合はケースを買い足すという選択肢に入ってくることもあるだろう。最近はあらかじめSSDを組み込んだ、ポータブルSSDも選択肢が増えつつある。

ポータブルSSD
手のひらより小さいポータブルSSDも登場している

スマートフォンに保存するという手も

さらに個人ユースであれば、スマホを使ってデータを持ち歩くという選択肢もある。内蔵ストレージもしくはメモリカードにデータを保存し、ケーブル接続で読み書きするわけである。なかにはWi-Fi接続で読み書きできるアプリもあり、こちらはケーブルすらつなぐ手間さえない。容量に制限はあるが、日々持ち歩く荷物を増やしたくない場合や、追加投資をしたくない場合は、まず手持ちのスマホを使えないか真っ先に検討することになるはずで、ライバルとしてかなり手ごわい存在といえる。

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ポータブルHDDが選ばれる3つのポイント

以上のように、今やライバルだらけというのが、ポータブルHDDを取り巻く現在の状況だが、こうした点を踏まえ、今あえてポータブルHDDを選ぶ動機となりうるのは、以下の3点にほぼ集約されると言っていい。

コストの安さ

ポータブルHDDの容量は1TBから2TBが中心で、価格は数千円から1万円台がボリュームゾーンとなっている。ほかのライバルに比べ、バイトあたりの単価は安い部類に入るので、容量を重要視する場合に適した選択肢ということになる。3.5インチドライブを利用した据え置き型HDDの価格にはかなわないが、持ち歩くことを主眼に置くのであれば、ポータブルHDDのほうが有利である。

大容量

USBメモリの場合、64GBの一つ上、128GBからは途端に製品の選択肢が少なくなるので、100GBよりも上のゾーンについては、ポータブルHDDの強みが発揮できる容量帯である。ポータブルHDDには500GBという、現在のボリュームゾーンである1TBから2TBよりも一つ下の容量帯があるが、これが10年以上現役であるのも、こうしたところに理由があるものと考えられる。

ボリュームゾーン(Volume zone)は、マーケティング用語や経済用語の1つであり、商品 やサービスが最も売れる価格帯や普及価格帯という意味の他に、中間所得層を指すこと もある。ボリュームゾーンにある商品は「ボリュームゾーン商品」と呼ばれる。

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読み書きが速い

転送速度については、フラッシュメモリを用いたUSBメモリやSSDには及ばないが、USBメモリがカバーしきれない大容量データに限っては話は別だ。オンラインストレージやファイル転送サービスで100GBを超えるデータをアップロードしようとすると何時間もかかってしまうが、ポータブルHDDであればそのようなことはない。

逆に、上記に当てはまらないのであれば、別の選択肢を選んでもいいということだ。そこそこの容量で軽さを重視したいのであればUSBメモリ、持参するのではなく誰かに送るのが目的であればオンラインストレージやファイル転送サービス、追加費用なしで手持ちのデバイスだけでなんとかしたければスマホを代用する、といった具合だ。

 

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