織田信長から学ぶ②



織田信長から学ぶ②


 

ジョブズは織田信長だ

このやり方を、私は「織田信長流」とよんでいます。織田信長は領界を区切った。そして真ん中に「楽市・楽座」を作って全国から人や物資を集めて市場を繁栄させた。まったく同じです。たぶんスティーブ・ジョブズは織田信長の話を読んでいたにちがいない(笑)。ジョブズと信長って、性格も似てるでしょう? 素晴らしいと絶賛したくなるけど、実は絶対上司にはしたくないタイプ。殺されるかもしれない(笑)。

―ジョブズの伝記には、信長の話はありませんけどね(笑)。

妹尾 私はそういう読み方をしています。アップルのやり方に、今マイクロソフトやグーグルが近づいてきて、似たような動きを始めた。つまり垂直統合とオープン&クローズの組合せです。こうした複合的なやり方同士の戦いになってきています。アップルが変えたのではなく、外側の企業がアップルを真似てきている。マイクロソフト、グーグル、インテルなどが、自分たちの得意な領域から垂直統合と複合的な生態系づくりを始めた

ただし、収益の源はそれぞれが得意なところに置こうとしています。だから、垂直統合同士の戦いとはいえ、その重点レイヤーが異なるので、ことは複雑で流動的になってきているのです。恐ろしい戦いになってきたと思いますが、ようやく皆さんも、こういう話を真剣に聞いてくださるようになってきたことは有り難いことです。昔こういう話をした時に、多くの経営学者から批判されました。「iPod の部品の大半は日本製だ」「音質はウォークマンの方が良い」とか。

― 以前はiPod はハードではなく、サービスこそが収益源だという見方もありましたが、蓋を開けてみたらiPhone/iPod の利益率が驚くほど高かった。ものづくりでもアップルは優っていた。またマイクロソフトがSurface、グーグルがNexus など自社のハードを出す戦略にシフトしてきているように見えます。

妹尾 ただ、そこで気をつけなければいけないのは、全体の価値形成と収益を上げる価値形成は別に考えた方が良いということです。サービスも加えて、価値形成の仕組みを作っておいて、ただし収益源はそれぞれの領域に持ってくる。

マイクロソフトもグーグルも全体の価値形成は同様に作って、収益構造はどこにするかを別に設定している。それぞれ違います。各社がハードウェアが儲かるので、そちらに移行するのではという見方もありますが、私はそうは言い切れないと思います。グーグルはグーグルの、マイクロソフトはマイクロソフトの収益モデルを作るために、あえて全体のビジネスモデルを再構築しているという見方をしています。全体の価値形成モデルの話と自社特有の収益モデルの話はもちろん関連していますが、各社の思惑とコンピテンシー(得意)があるので、それらは分けて見た方が良いでしょう。

ところで、スティーブ・ジョブスは天才だったと思いますが、ティム・クックも恐ろしいですよ。私は秋葉原に拠点を置いていますから、店頭でのiPhoneの売られ方を観察しているとよくわかる。新型が出るときには、量販店にインセンティブを与えて売りまくる。しかし、絞るときには市中在庫がなくなるまで絞り切る。中国の生産状況と秋葉原の在庫状況をつないで、在庫と生産と販売のバランスを絶妙にとっています。ソニーやパナソニックにはこうしたオペレーションは無いので、型落ち品が出回ってしまうし、値崩れが起こる。ティム・クックがジョブズの下でCOO になってから、アップルのオペレーションは変貌したと秋葉原の連中は言います。つまり彼らは、垂直統合をおこないながら収益源はそれぞれのレイヤーで緻密にコントロールしている。こうした統合した戦略を解析した方が良い。

業種ではなく「業態」で捉える

日本のマスコミの論調と米国のアナリストの見方が違う。ソニーとパナソニックとアップルという比較は、米国ではない。アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグル、インテルそしてフェイスブックです。日本でいえば異分野、異業種です。米国のアナリストの評価が違います。

ソニー、シャープ、パナソニックなどを比較しながら「ものづくり」を云々している日本とは、見ている世界が違うのです。産業生態系が様変わりしているということです。商品形態、事業業態、産業生態という言い方を私はします。ものづくり、製造業は「業種」といわれます、「業態」は流通業だと考えられてきましたが、あえて「業態」という言い方をしようと提案しています。繊維、化学、医薬、食品とかいう株式市場の区分では捉えられない。業種の垣根を超えた戦いをしているのだから、業態で考えた方が良い。すでに、電子機器、機械は当然のことながら、今後は医療機器、機能性素材、食品に至るまで同様のビジネスモデルとして見たほうが意味があるのではないでしょうか。

そのことを理解して、俯瞰的、長期的な手を打たないと負け続けるよ、というのが私の議論です。今は乱世なのですから、乱世の戦い方をしないと勝てない。乱世は次の世代の構想を描いた奴が勝つのです。

 

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